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とこわか(evergreen)(コラム#004)

更新日:2022年1月20日

「あとからくるもののために 山を川を海をきれいにしておくのだ」(坂村真民)。SDGsを進めていくというのは、こうした素朴な、そして熱い思いを持ちながら、一人ひとりが出来ることを実践していくことなのだろう。(ソーシャル・コモンズ代表 竹本治)

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 SDGsという言葉が使われるようになって随分経つ。持続可能な社会作りについての議論は、以前と比べて盛んになってきているが、目指す「ゴール」も沢山ありすぎて、焦点がよくわからない、という人もいるのではないだろうか。


 先日、親しい友人の紹介で、『常若(とこわか)産業甲子園』というドキュメンタリー映画をたまたま観た。若い世代に森・海・自然のめぐみなどを伝え、引き継いでいく活動をしている全国の老若男女へのインタビューを中心したもので、観たあとは実にすがすがしい気持ちとなった。


 『常若産業甲子園』とは、もともと、宗像国際環境会議(2014年設立)が推進しているプロジェクトで、若者たちと知恵や経験のある大人たちとが意見交換をし、一緒に活動しながら、未来の担い手を育成することを目標としている。この映画も、そのプロジェクトの一部として製作されたもので、先月の「第8回宗像国際環境会議」(2021年10月8~10日)でも上映されている。


 そして、「とこわか」とは、「いつも若々しいこと、いつまでも若いさま」という意味だが、それは伊勢神宮の式年遷宮のように、古いものが新しいものに置き換わって、繰り返し再生されることで常に若い状態が保たれることを指す。個々人の若さ、アンチ・エイジングとかforever youngというのとは違うものである。むしろ、社会全体がevergreenの状態で持続していくこと、といった方が近いように思う。


 映画の中では、仏教詩人の坂村真民(さかむらしんみん)の『あとからくる者のために』という詩が紹介されている。以下、その一部を紹介したい。


 あとからくる者のために

 山を 川を 海を

 きれいにしておくのだ


 ああ あとからくる者のために

 みなそれぞれの力を傾けるのだ


 結局、こうした素朴な、そして熱い思いをもって、一人ひとりが自分のできることをしていくこと、次の世代にバトンをつないでいくことが、時代を問わずとても大事なのであろう。自分自身も何ができるか改めて考え、そして地道に実践していきたい。


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