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傘を天下の回りものとする~持続可能な社会作りのための一歩(コラム#036)

傘の忘れ物は大変多く、廃棄のための環境負荷も大きい。この際、持続可能な社会作りのための一歩として、ビニール傘など、安手の傘に高率の環境税をかけることで貴重で高額なものにするとともに、「やや高級な傘」をレンタルする仕組みを全国的に導入してはどうか(ソーシャル・コモンズ代表 竹本治)。



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 梅雨が明けて酷暑となったが、雷雨や豪雨が全国的に見られていて、なかなか大変な夏となっている。傘が手放せないし、コンビニなどで売られているビニール傘のお世話になっている人も多いことであろう。


 傘の忘れ物は全国的に大変多い。また、ビニール傘は低価格で販売されていることもあって、とても壊れやすい。傘が落とし物として届けられても、落とし主が現れる率は、他の忘れ物と比べて大変低いし、廃棄物として処分するのにも大変手間がかかる。年間で何万本の傘が無駄に廃棄されているのであろうか。実にもったいないし、環境に負荷がたくさんかかっていると言える。




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 こうした中、近年では、駅などで、アプリを活用しながら、傘を気軽に借りて返せるような仕組みが少しずつ普及してきている。


 低成長経済の下で社会を暮らしやすくするためには、モノを必要なときに融通しあう「シェアリング社会」が一般化していくことは、とても有効な手段である。傘のレンタルの仕組みもその一つといえる。


 関係者には、どのようにすれば環境政策として現実に導入可能なのか、またビジネスとして成り立つかどうかは、ぜひ検討していただきたいが、ひとつ案を提示したい。




 傘をついつい置き忘れてしまったり、気軽に使い捨ててしまったりするのは、まずもって、世の中にビニール傘や安手の傘が多いためであろう。

 この際、安い傘には、極端に高率の『傘環境税』をかけて、どんなへなちょこな傘でも1本何千円にもなるようにしてはどうか。その上で、「やや高級で、丈夫な傘」を駅などで貸し出す仕組みを、全国的に大々的に導入するのである。貸借する際には、デポジット制を入れても良い。

 貸し出された傘を誰が使っているかは、1本1本トレースできるにしておく。アプリを使えば、本人確認をしながら、スピーディーにレンタルすることは可能であろう。



『傘環境税』の財源を活用しながら、国内の傘の製造・販売・流通・廃棄の仕組みを、このようにすっかり変えてしまえば、人々は、自分自身のお気に入りの高い傘を買って、それをなくさないように、あるいは修理もしながら何年も使うようになるであろう。駅でレンタルした「やや高級な傘」についても、やはり大切に使うようになるであろう。


 このような社会改革をすれば、傘は「天下の回りもの」であり続けながら、傘の落とし物や、簡単に廃棄される傘の本数を著しく減らすことができるのではないか。衰退しつつある手作り傘への需要も増えて、職人の育成につながることも期待できる。



 

たくさん打ち捨てられているビニール傘を見るにつけ、夢想する次第である。

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