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大震災とパンデミック~矜持とは(コラム#009)

シンポジウム「新型コロナからの學び」(3月11日開催)では、医療従事者の職業意識についても議論した(概要はNPO健康医療開発機構HP、https://www.npotrnetworks.com/ )。人々の生活の安心・安全、インフラを担う職業の人々は皆さんそうであるが、いざ大災害が起こった際には、矜持をもって、業界一丸となって動くようにお願いしたい。(ソーシャル・コモンズ 代表 竹本治)

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 矜持とは何か。「その業界のプロフェッショナルとしての誇り」のことだと自分は思っている。沢山の人が、普段からプロ意識を持って仕事をしている。人々の生活の安心・安全、インフラを担う職業の人々は特にそうであろう。そして、いざ大災害などが起こった際には、被害を最小限にし、一刻でも早く生活基盤が復旧するために全力を尽くしている。感謝の念に堪えない。


 11年前の東日本大震災の際には、もちろんあらゆる分野・業界の方が全力を尽くしてくれたが、特に、コンビニ各社が、誰に頼まれたわけでもなく、「生活の最前線を守る」ために、営業の継続、商品調達など、業界一丸となって動いていたのが印象深い。


 27年前には阪神大震災もあった。そのときには、日本銀行の遠藤勝裕神戸支店長が、(1)通帳がなくても預金をおろせるようにする、(2)被災した銀行に日銀の店舗を貸す、(3)手形交換を見切り再開する、といった異例の措置を即座に発動した。元・日銀マンの端くれとして、金融面から社会不安が広がらないように全力を尽くされた遠藤支店長の対応は、大変誇りに思っている。

(写真提供:神戸市)


 さて、国難ともいえる新型コロナである。命がけで対応された医療従事者も大勢いらした。しかし、この2年間を振り返ると、本来、率先して動くべき立場にあったはずの医療界が、バラバラであったという印象を持つのは、自分だけであろうか。

(シンポジウム『新型コロナ感染症からの學び』プログラム抜粋)

 

 シンポジウム『新型コロナ感染症からの學び』は、奇しくも3月11日に開催された。自分は第二部のファシリテーターをつとめたが、この職業意識に関して、パネリストの一人であった尾﨑治夫先生(東京都医師会長)からは、「医療従事者は、保険料や税金をベースとした制度の中で医療を行っている準公務員的な存在であることを強く意識」し、「協力して対処していく、という機運をこれからも活かしていくべき」という発言もいただいた。

(シンポジウム第二部のファシリテーター:上田龍三先生と)


 パンデミックに限らず、大震災・戦争やテロなど、これからも色々な危機が起こることは間違いない。次なる災害が起こり、新たな医療ニーズが出てきたときに備えて、国全体で「柔軟な対応」ができるようにして準備しておくことは非常に重要である。それを実現するためには、法制度的な整備、トップダウン、経済インセンティブの付与といったことも重要である。しかし、何よりも大切なのは、医療従事者一人ひとりの職業意識である。

 

 医療関係者におかれては、社会の問題を自分自身の問題としてとらえ、自発的に、そして業界が一丸となって動くよう、是非お願いしたい。





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